ぼく地球をまだ1度も読んだことがない方、ネタバレNGな場合におかれましては一刻も早くこの記事を離れて、【ぼくの地球を守って】正規の単行本をぜひともご覧ください!
ぼくの地球を守って あらすじ(ネタバレあり)~vol.1~
永い永い夢を見ましょう
この狂おしいほど愛しい地球を抱きしめながら
夢は前世の記憶を覚醒させ
重なり合う二つの心に新しい物語が刻み込まれる
ぼくの地球を守って第一巻表紙
東京と少年と私
ー北海道の田舎町から東京へ転校ー
まだ友達はできない。
高校1年生の坂口ありすは、転校してからずっとこの街、そして人に馴染めずにいた。
集合団地15階の窓から見上げる月をあおいでは
「帰リタイ」
という衝動にかられる
そう
「ードコカニ帰リタイー」
と。
「こんな空気のまずい所って初めて」
幼い頃から花や木を愛でる癖(?)があったありすは、田舎とは比べ物にならない程数の少ない都会の木々に触れながら「このコ達もどこかへ帰りたがっている様だ」と、可哀想と感じずにはいられなかった。
ある日、母親に夕飯のお使いを頼まれた帰り道。
「やあ!お隣のお姉ちゃん今晩は」
かけられた陽気な声に、ありすは固まる。
あ〜…嫌なヤツに見つかってしまった…
ありすは、この少年のことが苦手だった。
大人しくしてたら可愛い小学2年生の男の子、ただしありすに対してだけはイタズラやら無茶振りやら面倒な絡みが多いこの少年は、集合団地でありすのお隣の部屋に住む小林輪だ。
今日も何か嫌なことされるんだろうか…早いトコこの場をやりすごしてしまおう。
高校1年 vs 小学2年
…9歳年下のこんな子供に負けてたまるか。
毎度毎度、ひどいイタズラにひっかかってやるもんか。
というありすの意気込みは虚しく
またもや子供のイタズラにひっかかってしまったありすは、完全敗北のくやしさに涙に暮れて眠りにつくのであった。
次の日の朝
ありすが学校へ登校しようと自宅から出た所で輪に遭遇する。
「昨日のことなら謝るから」と相変わらず懐いてくる輪に向かって、露骨に嫌な顔をし、避けようとしたのがまずかった。
輪は大声で泣き出してしまった。
どんなに憎らしかろうが、さすがに小学2年生を泣かせてしまったことに、ありすは気が引けた。
「ごめん!ごめんね!今のはお姉ちゃんが悪い!キャンディー買ってあげるから泣き止んで!」
ありすは輪をあやし、その場は輪にガムを買ってあげてことなきを得た。
かの様に思えた。
高校で、田舎からの転校生というレッテルが貼られ、クラスの誰ともまだ馴染めずにいたありすは、学校につくやいなやクラスの女子から
「やだっどぉしたの!?あなたの髪にガムが付いてる!」
と、声をかけられ、突然クラス中からの視線を浴びることとなった。
え…ガム…?
ハッとした。
ありすは、輪の仕業だとすぐに気づいた。
クラス中の女生徒が口々に
「それはひど〜い!」
「かわいそう!」
「こんなきれいなストレートの髪なのにぃ」
「誰がやったの!」
と騒ぎ立てた。
ありすは込み上げる涙を抑えることができなかった。
「氷でひやそーよ!きっと取れるわよ」
あの忌々しいガキに大切な乙女のロングヘアーを台無しにされたことが悔しかった。
それもあったけど…
わかってくれる仲間が突然たくさん現れて、励まして、助けてくれた優しさが嬉しかった。
このことがきっかけで、孤立していたありすはクラスの女子と打ち解けることができた。
ありすは輪のしでかしたイタズラに対して、こんなきっかけがあってくれてよかったと初めて本当の意味で彼を許せた気がした。
異性として意識?
友達ができた。
それだけで、なんて晴れやかな気持ちになれるんだろう。
ありすは授業が終わって放課後になってからもすぐに帰らず「緑が寄ってけっていってるし」と、学校の図書館脇にある庭を探索していた。
ありすにとっては不思議なことではなかったが、ありすが近づくと庭の木々が喜ぶ。
ありすは今日あった嬉しい出来事を伝える様に椿の木に向かって「こんにちは」と声をかけて微笑んだ。
その時
誰かの話声が聞こえてきた。
おもわず椿の影に身をひそめて、ありすは声が聞こえてきた方向を覗き見た。
のぞいた先には男子生徒が2人立っていた。
一人はありすと同じクラスの小椋迅八、もう一人は、綺麗な顔立ちの知らない男子だった。
「どう考えても普通じゃないよな」
「そーゆーことに…なるの…かな…?」
「俺も…ショックだったけど、でもお前の方が…昨夜俺達!」
「(食い気味に)いいよ!!言わなくたって!!」
ー見つめ合う2人ー
ただならぬ空気感を漂わせている男子2人に、ありすは完全に男同士のラブシーンだと思い込み、これは見ちゃダメなやつだとその場を立ち去ろうと動いた瞬間、ガサッと物音を立ててお取り込み中(?)の2人にあっけなく見つかってしまった。
「ごめんなさい!お邪魔いたしました」とダッシュで走り去ることしかできないありすに、これは”そういう”誤解を招いたなと2人の男子は顔を赤らめた。
人様の、ましてや簡単にお目にかかれないであろう同姓同士の恋愛(って思っちゃってる)のワンシーンを覗き見てしまった衝撃で、心臓をバクバクさせながら家路に着くと、自宅には輪の母親が尋ねてきていた。
ありすに話があるとのことで要件を聞くと、次の日曜日に夜遅くまで家を空けなければならない用事があるので、輪と一緒に留守番を頼めないかという内容だった。
輪くんと一緒に…留守番…(嫌な予感しかしないんだが…)
「輪がね、ぜひありすちゃんと一緒にいたいって。あの子ったらずーい分ありすちゃんのこと好いてるみたいで!」
いやだーっ
輪のイタズラがきっかけで友達ができた。確かにそうだし、一度は感謝もしたし、その功績は大きいけれども!日曜の1日中、輪くんと(イタズラに耐えながら)過ごさなければいけない!?ですと??
ありすは一気に奈落に突き落とされた気分だった。
断るに断ることができず、ありすはその夜、涙で枕を濡らした。
日曜日の憂鬱
母親の前で、輪は優秀でよくできた子だった。
が
母親がでかけた瞬間、ありすにイタズラを仕掛けてくる。
覚えたての卑猥な単語も意味もよく知らずに叫び散らかす7歳の輪に対して、タジタジのありすも負けてばかりはいられない。
小林輪宅で一戦交える 高校1年 vs 小学2年
戦い(?)も疲れた頃合いで、ひょんなことから輪が父親が忙しくて動物園に行ったことがないという話を聞いたありすは
「動物園に行こう」
と、提案した。
ー動物園ー
ありすには、幼少の頃から植物の気持ちがわかる、そして動物の考えていることもなんとなくわかるという不思議な特技があった。
そのせいか、動物園ではどの動物を見て回っても動物の方から
「なんで人間なのに、動物の言葉がわかるの?」とやたらありすに近づいてきた。
輪は近寄ってくる動物たちを怖がっていたが、次第に動物やありすに心を許してはしゃぐ様になっていた。
「今日の記念にクロッカスの球根を買ってあげよーか、大事に育てんのよ」
「うん、育てる!!」
輪は素直に喜んだ。
動物園を堪能した2人が帰ろうとしたその時、動物園内でクラスメイトの小椋迅八と、もう1人の(恋仲?である)彼にばったりでくわした。
ありすは2人のデート現場を目撃してしまった…と、どうもいたたまれなくなり、回れ右して急いで立ち去ろうとした。
が、小椋迅八がその腕を掴んで逃さなかった。
「ちょっと待ってくれよ、違うんだってば!君の誤解をどーしても解きたいから!」
と、近くの喫茶店で話を聞くことになった。
ー喫茶店ー
小椋迅八と一緒にいた綺麗な男子は別のクラスの錦織一成と名乗り
「言っとくけど、俺達ホモじゃないから。」
と、誤解を解くためのいきさつを話し出した。
この2人は
ある時から、なぜか毎晩同じ夢をみているのだという。
前日に見た夢の話を共有するため、迅八と一成はクラスが違えど時間を合わせて落ち合っていたところ、ちょうどありすにその現場を目撃されてしまったということだった。
その夢の中での彼らは
小椋迅八=玉蘭(男性)
錦織一成=槐(女性)
という今現在とはまったく別の個体として存在していて、エンジュの方がギョクランに片思いをしていたため、夢が覚めた現実世界であっても、まるで恋仲であるかの様に勘違いされても仕方のない雰囲気をかもし出していたのだった。
迅八は、ギョクランとエンジュがいる場所が、地球がいつも背景にある風景であるということから
「まるで月から地球を見上げている様だ」
「変な話、オレと一成は過去において来世の夢でも見てんじゃねーかと思うよ」と続けた。
ありすは、なんて面白い話なんだと夢中になって聞いた。
迅八は、そんなありすを見て
「転校初日から思ってたんだけど、坂口さんて初対面って感じしないんだよな」
と、顔をほころばせた。
一成に
「うわー迅八、告白?」と揶揄され、そういうわけじゃねー!と焦る迅八を見て、それまで静かに大人の会話に付き合っていた輪の心の中は穏やかではなかった。
家に帰ってきたありすは、輪に動物園で買ってきたクロッカスの育て方を教えていた。
輪はありすの話をほとんど聞かず
「オレもありすとデジャ・ビュしたぞ!ありす見て懐かしいと思ったぞ!」
「お前、あいつのこと好きなのか!?結婚するのか!??」
とまくしたててきた。
ありすは、まさか妬いてるのかと、輪のことをちょっとだけからかうことにした。
「…そうだったら、どうする?」
問いかけた途端、輪は血相を変えてベランダに飛び出し、今日の記念にとありすに買ってもらった植えたばかりのクロッカスをベランダからわざと投げ落としてしまった。
ありすはカッとなって「なんてことするの!」と、軽く輪の頬を叩いた
その時
輪は体勢をくずし、ベランダの外に放り出されそうになってしまった。
「きゃああああ!!」
大声を上げ、ありすは必死に輪の足をつかんだ。
家の中には、ありすと今まさにベランダから落ちそうになっている輪しかいない。
必死にマンションの隣の部屋にいる母に聞こえる様に大声で助けを求めた。
あたりには、ありすが母親を呼ぶ声と
輪の泣き叫ぶ声が響いた
この手を離してしまったら…輪くんは…助けて!誰か助けて!!
一瞬の出来事だった
ありすが必死に掴んでいた輪の足がすり抜け
マンションの下の方から
「子供が落ちたぞー!!!!」
「子供がマンションから!」
「おいっ」
「救急車ーーーーーっ!!」
大人達が叫ぶ声が聞こえてきた。
ありすの身体は震えが止まらなかった。
ここは
15階なのだ。
ぼくの地球を守って 感想と思うこと
月が地球や人に影響を与えるというお話しって聞いたことありますか?
潮の満ち引きとか
満月の夜は出生率が上がるとか
その他にも色々ありますよね。
月の存在にロマンを感じざるを得ない私ですが、そういえば、月がモチーフになっているお話しって少女漫画にやたら多いと思いませんか?
もしかしたら、月が女性に与える「メッセージ」の様なものって多いのかな〜とか憶測ですが感じるあまり【ぼく地球】の中の月の在り方に注目しながら読んでみるのも、めっちゃ感慨深いものがあります。
ここまでのあらすじは【ぼく地球】のほんの序章にすぎません。
「月から地球を見ている様な夢を見る」
そんな夢を見てみたいもんです。(厨二病から抜け出せません)
あらすじのつづきは↓こちらです
ぼくの地球を守って あらすじ~vol.2~ ときどき感想