ぼく地球をまだ1度も読んだことがない方、ネタバレNGな場合におかれましては一刻も早くこの記事を離れて、【ぼくの地球を守って】正規の単行本をぜひともご覧ください!
ぼくの地球を守って あらすじ(ネタバレあり)~vol.11~
そしてまたこの夢の世界に
倖せで残酷な夢に戻る
ただ君に逢うために
還らない夢と
失い得ない現在とのはざ間で
孤独な魂が叫び続ける
第三者
春彦からの勇気の手紙を破棄される寸前で奪い返すことができた田村は、春彦の前世の全貌、今世の状況を把握した。
月基地で任務遂行のため、集められたエキスパートの7名について。
秋海棠(春彦)の犯した罪
そしてS(紫苑)が今世で遂行しようとしている【月基地の破壊】
当事者ではないからこそ、田村は違った角度から見えるものがあった。
紫苑の目的は『月基地の破壊』と言うが、地球人には解読不可能なその情報を誰も持ち込むことなんてできやしないというのに…
なぜ?破壊を?
『破壊したい』というのは本心だろうか?
それとも…逆か?ヤツは持ち込みたいのか?
逆に持ち込みたいとしたら、何のために??
紫苑は、何を独りで戦っている??
春彦からの手紙は「田村の手に渡る前に破棄して欲しい」と、春彦本人からの強い意向があったことを受け、田村は手紙を読んだことを春彦には秘密にすることにした。
そして、この一件の相談相手である未来路にその手紙を預けた。
「関わり合いにならん方が身のためや」
未来路が田村から相談を受けた時、最初に出した答えはこうだった。
ただ
生まれる前、自身が胎児であった時から強いESPを持っていた未来路は、ESP絡みの悶着に
当事者達の身体のことを案じていた。
瞬間移動は心臓にかなりの負担がかかる。下手すりゃ心臓麻痺を起こす特殊能力であるにも関わらず、心臓の悪い春彦がそれを繰り返せば最悪の場合は死に至る。
「教えてあげたいわ。きっと知らんのや。」
乗りかかった船でもある。
放っておくことができなかった未来路は、このことを伝えるため独断で春彦に接触をすることにした。
未来路はなるべく自然を装って春彦に近づき、そして1枚のメモを渡した。
あんまりやらん方がええんやないかと思います。
自分の体、もっと大切にしてください。
M
メモを読んだ春彦は驚愕した。
すぐにMと名乗る彼の姿を探したが、彼を見つけることはできなかった。
敵か味方か
未来路の優しい気遣いは春彦に混乱をまねくこととなった。
出会った時こそ敵意を感じる印象はなかったし、メモは春彦の身を案じる内容であったが、何よりも瞬間移動をしたことがバレているとはどういうことなのか。
京都の言葉で書かれた文章。
Mというイニシャル。
誰なんだ…??
味方…?
もし…田村さんにあの手紙が読まれてしまったのであれば、田村さんの協力者である可能性もある。
春彦は確認のため、手紙の破棄を頼んだタカシに電話をかけた。
タカシは田村に言われた通り「破って捨てた、田村も見てねェ」と春彦を突っぱねた。
…手紙は田村さんに渡っていない…なら…
味方になり得る人の心当たりなどない。
そして、わざわざ京都なまりで書かれた文体であることに春彦は一番考えたく無い最悪の結論に達した。
ぼくが京都へ行ったことがバレている…
こんなことができるのは
紫苑の他に誰がいる…
自白
「ねぇ…どうしてありすとデートしないの?」
輪は春彦を呼び出していた。
「もっとデートしてもらわないと、彼女会合に来ちゃうんですよね。無節操に同調連鎖されては困るんだよ。キィ・ワードだけを上手に憶い出せる様にあんなにお願いしたのに。」
自分の都合の良い様に、春彦からの同調連鎖によって、ありすの記憶の一部分だけを呼び起こしたかった輪は、春彦が思い通りに動かないことに苛立たしさを感じていた。
ありすの覚醒を望むのはキィ・ワードのため。
それ以外の辛い記憶を呼び起こさせて、ありすに嫌われるのは避けたい。
ー 紫苑は木蓮をひどく傷つけた ー
ムーンドリームの会合に顔を出す様になったありすに、他の仲間に同調して本格的な覚醒をされては困る。
「いいから君は黙って、ありすとデートしてればいいんだよ。」
春彦は黙っていられなかった。
「どうして、キィ・ワードを欲しがるの…?どうしてわざわざ、味方みたいな素振りをさせて“君の仲間”にぼくを監視させるの…?」
そして春彦は、Mからのメモ書きを机に叩きつけた。
輪はそのメモ書きを、まじまじと眺めた。
「ボクが誰かとなぁなぁしながら君をいじめてたって思われるのは心外の極みだね。」
え………
Mは輪の仲間なんじゃ……??
「なかなか洒落た文章だ」と輪がクスッと笑った。
瞬間移動する際の注意書き…それは京都なまりの文面。
「そう…君、京都まで行ったの…。何しに…?」
輪の問いかけに春彦は顔をこわばらせたまま何も答えることができなくなった。
無言の沈黙…これが全てを物語っていた。
輪は春彦が京都に出向いた理由を簡単に察することができた。
「ボクをかなり怒らせたね…?」
そうして輪は、春彦の前から姿を消してしまった。
襲撃
バレた。
ぼくが京都に行ったことがバレた。
それは、春彦が田村に全てを話したことが輪に知れてしまったことを意味した。
「可哀想に。これで君は味方を失うハメになるかもしれないんだね」
輪が言い残した言葉に、春彦は京都にいる田村が危ないと急いで電話をかけた。
「おー春ちゃん、なんだい?」
田村が電話を受けたのは、ちょうど春彦の問題のことを考えていた時だった。
「逃げて!!早く…早く逃げて!!!」
あまりにも切羽詰まった春彦の声に田村もすぐにただ事では無いと気がづいた。
「読んだでしょう!?ぼくの手紙、本当は読んじゃったんでしょう!??Mって誰!?田村さんMって…あぁ早く逃げて!!それからMって人にも伝えて…関わっちゃいけないって!!」
「どうしたんだ、春ちゃん、春ちゃん!!」
「ごめんね、田村さん、ぼくが引っ張り込んじゃって…できるだけ責任取るから…田村さんはどこでもいいから移動して!!今からぼくもすぐそっちへ行く!!」
田村の声も聞かず、春彦は伝えたいことだけ伝えて電話を一方的に切った。
田村は、命を削る“その力”を使うべきじゃ無いと、春彦を説得したかった。
すぐに電話を掛け直したが、再び春彦に電話が繋がることはなかった。
M…未来路のことか?
Sがこっちへ向かっている…
春ちゃんはここへ来るべきじゃ無い…っ!!
迷っている暇など無かったが、田村にはどうすればいいのかわからなかった。
その間、春彦は息も絶え絶えになりながら瞬間移動を何度も繰り返した。
紫苑が向かってしまった京都へ。
あと…少し…
京都までもう一歩手前というところで、春彦は意識を失った。
ぼくの地球を守って(文庫版)第四巻より、お伝えしています。
ぼくの地球を守って 感想と思うこと
こわっ
輪くん…
こわッ!(꒪ꇴ꒪|||)
次回の輪くんはもっと怖いです。ぞ…。
つづきはこちら↓
ぼくの地球を守って あらすじ~vol.12~ ときどき感想