ぼく地球をまだ1度も読んだことがない方、ネタバレNGな場合におかれましては一刻も早くこの記事を離れて、【ぼくの地球を守って】正規の単行本をぜひともご覧ください!
ぼくの地球を守って あらすじ(ネタバレあり)~vol.5~
なれし故郷を放たれて夢に楽土求めたり
前世と今世を結んだ邂逅は激しい愛憎を呼び
七人の運命の輪は再び回り始める
紫苑と秋海棠
春彦は田村の怪我のお見舞いに病院に来ていた。
田村は、輪と対峙したあの日のことをずっと考えていた。
「なぁ春ちゃん。いまだに不思議に思ってるんだが、なんであの日俺があそこにいるとわかったんだ?」
何度も同じ質問をしてくる田村に向かって春彦は
「…ホントに気づいたら足が向いてたんだってば」
と曖昧な返答をしていた。
それじゃぁ答えになってないと指摘されても
「本当に…気がついたらあそこにいたんだ…」
春彦にとっては、そうとしか答えようがなかったというのが本音だった。
田村は、春彦が人に話しにくい悩みでも抱えているのではないかと思い
「俺に不安になっていることを全部話してくれないか?」
と歩み寄った。
「…今度…話すよ………」
そう言って、春彦は病室を後にした。
帰り道
突然目の前に輪が現れ、まるで昔から自分のことを見知った仲であるかのような態度で接してくることに、春彦は怯えた。
「ここでは話せないね。跳べるんだろう?どこかへ移動しよう」
ー 君なら ついて来れるはずだ ー
次の瞬間
春彦と輪は森の中にいた。
輪は、春彦のことをこう呼んだ。
「久しぶり。君には心底会いたかったよ【秋海棠】」
罪と罰
ー 月基地 ー
星間戦争で母星を失い、さらに追い討ちをかける様に病原体が発生したことにより、月基地に取り残された7人は正気の沙汰ではなかった。
そんな中、秋海棠は病原体のワクチン開発を試みていた。
伝染病により
1人、また1人と仲間が命を落としていく。
残す所、秋海棠、紫苑、木蓮
生き残っているのは3人となってしまった時、やっとの思いでワクチンが完成した。
助かる希望が見えた、と同時に
ワクチンを開発していた秋海棠本人は、すでに自分が伝染病に感染していることに気がついた。
「紫苑、どうやら私も感染したらしい。」と言いながら
まだ感染していない紫苑と木蓮2人にワクチンを射とうと、柔らかく微笑んだ。
そんな秋海棠を、紫苑は抱きしめた。
秋海棠は先に逝った4人の後に続き、紫苑と木蓮を残して旅立った。
その後まもなく、残念ながら木蓮も発病した。
「せっかく秋海棠に薬を射ってもらったのに」
亡骸となった木蓮からは、ワクチンの反応が
出なかった…
「前世で君が何をしたか、ボクが推理して見せようか」
春彦の夢の中の記憶を、輪は何もかも知っている口ぶりだった。
それ以上、言葉にしてほしくなかった。
「君は、木蓮には薬を射たなかったんだ」
「射たなかったんじゃない!!射てなかったんだ!ワクチンは一人分しかできなかったんだ…!!」
それは夢だと信じたかった“月のおぞましい記憶”…
秋海棠は、完成した“一人分のワクチン”をあえて紫苑を選んで射った。
木蓮が『キチェ=サージャリアン』と呼ばれる神(サージャリム)の使いで、男性との交わりは容易ではない(キチェ=サージャリアンで無くなる)ため、木蓮への想いを自身の胸の内に秘め続けていた秋海棠だったが
紫苑は汚すことが許されない、木蓮という存在を個人的都合で我が物にし婚約した。
その一件を許せなかった報復に、秋海棠は紫苑にだけワクチンを射ち、月基地に一人取り残される【孤独】という名の罰を与えようとしたのだった。
輪は言った。
「誉めてあげよう…薬はいやによく効いたよ」
春彦の射ったワクチンの効果は9年続いた。
輪は木蓮の遺言で命を自ら断つこともできない中、自分が狂っていく様を自覚しながら月基地で孤独に生き続けたのだという。
春彦は自分が思った以上の年月であったことに愕然とした。
9歳の年の差がある小学生の輪の姿を見て“夢の記憶”だけでは済まされない、とんでもないことをしたという罪の意識に押しつぶされそうになった。
輪の言葉は春彦の心をえぐっていく。
「…君はボクに償うべきだ。ハッキリ言えば殺してやりたいくらいだが…」
ー 今はそれ以上にやりたいことがある ー
ー 協力してくれるよね? ー
輪は月基地の文明、科学、歴史を現在に持ち込まないために、月基地を破壊したいと言う話を続けた。
この文明のせいで、星間戦争が起きた結果が前世の記憶であると。
「ボクらの歴史は過ちを犯した。償われるべきだよ。」
地球に転生した意味を…
忘れたい悲しい記憶を持ち続けている意味を…
「ボクは、地球を守りたいんだ」
春彦と秋海棠
春彦は家に戻ってから自分の部屋にこもりっぱなしになった。
ずっと見ていた夢だと思っていたものが“前世の記憶”であったことを輪に突きつけられ、自分がしでかした行動の罪深さに胸が潰れそうだった。
輪の目的は月基地の破壊。
月基地に備わっている[装置]を作動させるため、7人全員のキーワードが必要だと言った。
今世、地球上に転生した7人のキーワードを集める協力を春彦に求めてきた。
春彦は輪の脅迫に従うしかなかった。
『不安になっていることを全部話す』という約束をした田村は、退院後すぐに春彦の家を訪れた。
春彦の母親が言うには、ずっと部屋から出て来ないという事情も気になるところだった。
「春ちゃん、俺だ。入っていいかな」
部屋をノックすると
「だめ!!入らないで!!」
悲鳴の様な、春彦の声が聞こえた。
田村は春彦を放っておく気など微塵もなかった。
絶対に助けるという意思を持って、ゆっくりドアを開けた。
田村は扉の向こうに地球を見た。
「うわっ!!??」
予想だにしなかった突然の光景にのけぞったが、次の瞬間、普通の部屋であることに落ち着きを取り戻し、ベッドに突っ伏したままの春彦に近づいた。
が
ベッドの上にいたのは、春彦ではない別の“何者か”だった。
田村は思わず
「誰だあんた…!!?」
と声をうわずらせた。
「…田村さん…」
聞き馴染みのある春彦の声に引き戻され、今まで見ていた“何者か”の姿は春彦だということに気がついた。
疲れてるのかと田村は自分の頭を抑えたが、春彦の助けを求める声に応える様に、そっと春彦を抱きしめた。
春彦は田村の胸を借りて泣いた
とにかく泣いた。
頃合いを見て田村は言う
「さぁ春ちゃん、どんと話してくれ。春ちゃんがもてあましてること全部だ。そういう約束だったよな?」
春彦は自分に向けられた、これ以上ないほど澄んだ優しい瞳を見て思った。
自分で背負いきれないほどの罪の重さを
紫苑に対して行った残酷すぎた報復を
もし、田村さんに話したら…
きっと呆れ果てた目でぼくを見る
ぼくを軽蔑して
そして、ぼくを嫌ってしまうだろう
嫌って…
嫌だ
話せない
思った瞬間、春彦は川沿いに瞬間移動していた。
輪の言葉を思い出す。
ー ハッキリ言エバ殺シテヤリタイ ー
ー 君ハボクニ償ウベキダ ー
春彦はそのまま、川に飛び込んだ。
ぼくの地球を守って 感想と思うこと
月基地の7人の中で、
前世の記憶で今世に影響ありすぎランキング(勝手に私が思うやつ)
1位:輪
1位:春彦
この2名は群を抜いてダントツ同率1位です。
(異論は認めませんw)
もし
輪廻転生が本当にあるのだとしたら?
自分の前世が「誰でした」と判明するのもワクワクしますが
【今世の自分が、来世のためにできることってなんだろう】
そんな風に考えることも、私的にはロマンなんですけど
こういうのを厨二病と言いますか?w
ここまで、丁寧にお読みくださいましてありがとうございました!!
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ぼくの地球を守って あらすじ~vol.6~ ときどき感想