ドラマシリーズ「北の国から」で五郎さんがラーメン屋の店員に向かって「子供がまだ食ってる途中でしょうが!!」と怒鳴る場面があります。
1度観ると強く印象の残るシーンですが、その詳細をご存知ないあなたのために、名シーン解説をします。
北の国からで閉店間際のラーメン屋のシーンと言ったらこれ!
昭和59年3月29日
五郎さんが自分で麓郷に建てた丸太小屋が火事になってしまいました。
炎に包まれる我が家を見つめ、開いた口が塞がらない純
焦りながらも我が子が飛び出さない様に制する五郎
五郎の胸に顔をうずめる蛍
その火事の原因を作ってしまったのは、純でした。
スキー遊びで濡れた服をストーブの近くに干したまま出かけてしまったのです。
「火の始末、出かけるときには物を干さないこと」と蛍に注意されていたにも関わらず・・。
純は荒れ狂う炎を見つめ絶句しますが、頭の中では一生懸命考えていました。
「どういう風に言い逃れしようか・・」と。
その罪を友人の正吉のせいにしてしまいます。
まだ幼い純の心に、自分のせいで家が火事になったこと、そして友人に罪をなすりつけ裏切ったことが深く刻まれ、大きな傷となってしまいました。
子供のいたずら
ただ遊んでいただけ
悪気なんてなかった
純がしてきたほんの小さな悪事が
どんどん膨らんで大きな罪と形を変えて、純の心を押しつぶしていきます。
「やっぱり、お前はきったねえ奴だな」
正吉の放った言葉を胸に、純は自分の卑怯さ、ふがいなさを反省します。
閉店間際のラーメン屋にて
純は、運ばれてきたラーメンには手をつけず、背負っていた自分の過ちを五郎にポツリ、ポツリと話し始めました。
泣きじゃくりながらやっとの思いで自分が卑怯で弱虫だったことを告白した純の言葉を、五郎は怒ることなく静かに受け止めます。
五郎は純が、自分の罪を言い訳で逃れようとする部分があることに感づいていました。
そのため、純が涙ながらに正直に話したこと、その成長をやさしく見守ったのでした。
五郎もまた、自分が悪かった部分を純に告白し始めました。
しかし、ラーメン屋の店員は、そんな家族の会話などおかまいなしで、店じまいの支度をしたくてイライラしています。
純と会話の途中でしたが五郎は先に会計を済ませようとお金を店員に渡したところ、店員は、まだ食べていない純のラーメンどんぶりをもう帰れと言わんばかりに無理矢理下げようとしました。
その瞬間五郎が店員に向かって怒鳴ります。
「子供がまだ食ってる途中でしょうが!!」
北の国から ラーメン屋のシーンは何話目?
こちらのシーンは「北の国から ’84 夏」で登場します。
一度見たら忘れられない、強く印象に残るシーンです。
北の国からのドラマシリーズを見たことがなくても、このセリフを耳にしたことがあったり、ネタとして使われたりと、セリフだけが一人歩きしている気もしますが、純の心の成長や、五郎の父親としての在り方をみせてくれた、とても感動的な名場面なのです。
北の国から ラーメン屋の場所はどこ?
このシーンの舞台となったラーメン屋さんは、「三日月食堂」というお店です。
と、私が勘違いをしておりましたが(誤った記載にお詫び申し上げます。)観光協会の資料にて、こちらのシーンは「架空のラーメン屋」であるとのことです。
当時、富良野にはラーメン屋さんが三日月くらいしかなかったので、おそらく三日月っぽい?架空のラーメン屋さんなのかと思われます。
富良野で面白い袋入りインスタントラーメンを見つけました。
あまりにもこの場面が有名すぎて、セリフをそのままに商品化された
子供がまだ食ってる途中でしょうがラーメン
※しょうがはお好みで御用意ください
とパッケージに注意書きがあるのは、五郎さんのセリフの語尾「〜でしょうが」により
生姜ラーメンだと勘違いされる方が多かったからの模様です・・(笑)
さいごに・・
これは余談になります。
私は富良野で生まれ、富良野で育ちました(現在は長野在住です。)
北の国からがリアルタイムで放送されていた当時、私はドラマの面白さを理解するには程遠く、ストーリーもわからないほど幼かったのですが、五郎さんの怒鳴り声だけは記憶に鮮明です。
ドラマといえど、本当にお茶の間が凍りつく緊迫感がトラウマになりました(笑)
それほど「北の国から」というドラマはテレビという枠を越えてリアルであり、ロケ地の富良野で育った私としては、より身近です。
このシーンで登場する三日月食堂にもよく行きました。
それこそ、生まれてから富良野を出るまでラーメンといえば三日月でした。
カツオの出汁が効いた澄んだ醤油スープに、太めの縮れ麺が特徴。
富良野に帰省するたびに、必ず食べに行っていましたが惜しまれながらの閉店。
あの味を超えるラーメンにはいまだに出会えていません。
田舎のラーメンだからといって、あなどるなかれ・・本当に美味しいラーメンでした。
個人的にですが、関東近郊にある青葉というラーメン屋さんの中華そばが、どことなく三日月のラーメンに味がちょっと近い気がして、つい行きたくなります。
「北の国から」は、歳を重ねるごとに受け止め方に違いが出ます。
子供の頃に、純くんや蛍ちゃん同様の視点で観ていましたが、時を経て大人になってから観てみると違った視点で楽しめます。
何度も繰り返し感動させられる作品であり、ドラマシリーズ終了後もあの場所に行けば五郎さんに会える。
そんな気持ちにもさせられます。